第35回「旧農林水産省蚕糸試験場小淵沢飼育所第二養蚕室」(11月29日放送)
八ヶ岳の麓、標高800メートルの高地にある、
「農研機構遺伝資源センター 北杜研究拠点」。
夏でも涼しいこの場所で、
蚕の品種の育成や、
改良のために作られた「第二養蚕室」は、
太平洋戦争が始まった、昭和16年に建てられました。
昔の学校を思わせる、下見板張りの外壁。
木造二階建てで、柱・天井・内壁・床、
すべてにヒノキが使われています。
瓦葺きの屋根には、
ふたつの換気用の「突き上げ」が。
2階で蚕を育てるために不可欠な、
風通しと日当たりを確保しています。
夏の高温時には、床下の空気を塔屋へ導き、
室温を一定に保つ工夫もなされていました。
開口部は、雨戸・ガラス戸・障子の三重で、
気温を調節。
2階へ桑をラクに運ぶために、
廊下の一部が、持ち上がるようになっています。
生糸が輸出品の1位となり、
明治政府が、蚕や桑の品種改良を推進する中、
全国各地に「蚕糸試験場」が作られました。
養蚕県・山梨の重要な研究拠点として、
近代化に大きく貢献した建物です。
2016年11月29日 23:00