第39回「旧室伏学校」(12月27日放送)
甲府盆地の向こうに富士山を望む、
山梨市牧丘町の高台に、
明治8年、山梨県令・藤村紫朗により建てられた、
「旧室伏学校」があります。
藤村が推進した洋風に似せた建物、
「藤村式建築」の最も初期のもの。
木造方形二階建て、正面はルネッサンス風で、
2階にはバルコニーが付けられています。
外の柱は木製の円柱で、礎石は算盤の玉のよう。
藤村式建築で、よく見られるデザインです。
細長い板を交差させた、菱組のすかし天井は、
南方植民地スタイルの欧米人住宅を真似たもの。
屋根の上には「太鼓楼」が設けられ、ハイカラな外観から、
「インキ壺」の愛称で親しまれていました。
様々に改修が施されていますが、
入り口の、ツガの木の床だけは、当時のまま。
正方形の建物を支える、巨大な梁などの木材は、
恵林寺山より伐り出されたものです。
500メートルほど南西にあった建物は、
移築され、「牧丘郷土文化館」となりました。
昔の学校教育に関する資料や、
市が所蔵するバロック期フランドルの巨匠・
ルーベンスの版画など、
貴重な品々が展示されています。
山梨に西洋の風を吹かせた、
近代化の象徴・藤村式の学校は、
地域の人々の誇りとなりました。
その最初期に作られた、数少ない遺構のひとつです。
2016年12月27日 22:59