第43回「津金学校」(1月24日放送)
山間の、北杜市須玉町津金に、
明治・大正・昭和の、三世代の校舎が並んでいます。
「津金学校」は、明治8年に建てられた、
洋風を模した「藤村式」の建物。
建築費は1,662円、現在の数千万円で、
その半分以上が、村人からの寄付でした。
設計は、藤村式建築を多く手掛けた「小宮山弥太郎」。
県内に残る藤村式校舎で、唯一、長方形の建物です。
柱や窓枠を彩るペンキは、当時は輸入品、
大変貴重なものでした。
外壁は、真っ白な漆喰が塗られ、
軒から壁には、曲線の「軒蛇腹」が付けられています。
寄木造りの円柱には、漆喰の頭飾りがありました。
昔の漆喰は、館内に展示されています。
玄関ポーチの頭上には、お寺などでよく見られる、
「唐破風(からはふ)」の軒。
ベランダは、児童が増えた際には、
教室として使われたこともあったとか。
懐かしい教室風景が復元された屋内。
左官職人の技術の結晶、
津金に多く残る「鏝絵」も展示されています。
2階の天井には、かつてこの地域で生産されていた、
通気性のいい、和紙が張られています、
その上の「太鼓楼」には、
時を告げる和太鼓が吊るされています。
山里ながら、古くから人の住む、教育熱心な地域。
文明開化からわずか数年、人々の熱意と労力で作られた、
近代化の象徴、モダンな学校は、
建てられてから今日まで、同じ場所に佇み、
現在も、地域の誇りとなっています。
2017年1月24日 23:00